何を今更って話なんですけど、餃子って愛されてますよねえ。ほとんどの日本人はほぼ全ての餃子がうっすら好きだけど、その中でも特に好きな餃子は？となると実に人それぞれ。色々調べているとある程度の地域差や年代差のようなものもあるような気がするけど、それだけでは片づけられない多様性もあることを、最近改めて痛感しています。 相談者さんのこの文だけでも、きっとこの方はこんな感じの餃子が好きなんだろうなあ、となんとなく伝わってきます。「具から水分が出てビショビショ」という特徴は、あんの状態で、もしくは成形後に、少なくとも一回は冷凍を経た結果かと思われます。 　 もちろん餃子専門店やそれに近い店の中の一部を除けば、飲食店のたいていの餃子は成形後冷凍です。オペレーション的にそうならざるを得ない。そのことの良し悪しは簡単には決められませんが、冷凍を経ると、あんの野菜から確実に水分が出ます。また家で作る餃子は、肉の割合が比較的多くなりがちです。肉が多いと、さらにギュッと締まったあんになり、ビショビショとは真逆の方向に行きます。 好みは人それぞれと言いましたが、そういう、野菜がシャキシャキして肉たっぷりのギュッとした手作り餃子がうまい、というのはとてもよくわかります。そもそも、家で餃子を手作りするなんて、言うなればその時点で自炊エリート。そんな人が作る餃子がおいしくないはずはありません！ 　 という認識は僕の中にもあるのですが、僕は同時に、もっとふにゃふにゃしただらしない餃子も好きです。いや正直なところそっちの方が好きかもしれません。野菜は食感もへったくれもないペースト状、肉は入ってるのやら入っていないのやら存在感激薄で、そりゃあパリッと焼けていてほしいですが、そうであっても持ち上げるとグニャリとたわむような感じ。そして全体に油でヌメヌメしていて欲しい。油でタレが弾かれるくらいがいいです。 王将の餃子がまさしくそんな感じなので、僕はそれがどんな餃子よりおいしいと思っています。大阪ミンミン（変換できませんな）はさらに輪をかけてだらしなく、それもそれで嫌いではありません。一度その再現を試みて、キャベツは一度ボイルしてフープロで徹底的に細かくしたのですが、結局それは程よくシャキシャキして肉の旨みが口いっぱいに広がるおいしすぎる餃子になってしまい、たいそうガッカリしました。 やはり手作り餃子はどうしてもおいしくなってしまうものです。相談者さんはエリート自炊者としてこれからもぜひ作り続けていただきたい。それと同時に、だらしない餃子の良さも理解していただけると僕はちょっと嬉しいです。