
匿名
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エリックサウスの冷凍カレー「サバのトマトコランブ」がとにかく素晴らしかったです。独特のアロマを感じつつ、どこかイタリアンに通じるところもあり、独自性と大衆性をとても高い位置で併せ持っている、というのが私の感想です。ご著書「だいたい1ステップか2ステップ なのに本格インドカレー」掲載の「ブリのコランブ」とは、やはり構成要素は大きく異なりますか?
ありがとうございます。 そしてめちゃくちゃ鋭い! 嬉しくなっちゃったので少し語らせてください。 エリックサウスでは従来、季節ごとのフィッシュカレーを展開してきました。そしてそれは限定品ということもあり、どちらかというとマニア向けのニッチ商品でした。 しかし南インド料理をやる以上、フィッシュカレーはむしろメインストリームにあるべきです。マニアではない一般のお客様にも広めるために、通年でも提供可能な、なおかつ広く愛されるものを作らねばならないと考えたのです。 つまり、エリックサウスの次世代定番カレーを目指して作ったのが、まさにあの「鯖のトマトコランブ」でした。慣れていない人に好かれるカレーを作るだけならある意味簡単です。でもこの場合は、これまでのフィッシュカレーファンをガッカリさせないことはそれ以上に重要でした。 「あ、これは一般向けの日和ったカレーか。ノットフォーミーだな」 と思われたら、完全に無意味なのです。第一僕自身がもしお客さんだったら、どんなに失望するでしょう。 ワンツーステップ本のミーンコランブは、言うなれば南インドのオーセンティックど真ん中です。ミーンコランブと言ったらこれでしょ、というもの。しかしそれはそのままでは、あくまで周縁の民のためだけのおいしさです。次世代定番カレーにはふさわしくありません。 なのでそこをベースに、原理主義的ダイナミズムは一才損なわないよう、それでいてメインストリームにふさわしいものに改変する必要があったのです。 改変のポイントは、これ言っちゃっていいのかな、まあいいや、意外なことに「タマリンドは使わない」でした。酸味は別のもので補ったのです。ああもうバレバレだな。勘のいい子はきらいだよ。