カモメ
料理をしてて難しいのが、塩加減です。 少しの塩だとパンチが足りないことが多く、逆に多めにすると塩っぱ過ぎに。醤油はそういうことは少ないんです、なぜか。食材の量も適当なので、見当がつきません。やはり味を見ながら少しずつ加塩をするしかないのでしょうか? 塩加減のコツなどあれば、ご教授していただきたく。
塩の量は「料理の仕上がり量の1%」を目安にすると大きく失敗することはありません。 野菜炒めや肉の下味付けなら、生の食材重量を基準にしてOKですし、汁物や煮物なら、調理過程で蒸発するであろう水分量を引いた仕上がり量を推定して塩の量を決める(そしてむしろ仕上がり量がその推定値付近に着地するようにコントロールする)、ということです。難しそうに見えるかもしれませんが、感覚のみでやるよりずっと簡単です。 さらに塩以外の調味料も含めての「塩分1%」を基準にすると、さまざまに応用が効きます。 たとえば、塩・濃口しょうゆ・オイスターソース で味付けするとしたら、それぞれの塩分濃度は100%・16%・12%なので、その合計が食材の1%になるように配分して合わせておくと、味付けが一発で決まるということになります。 ただしこの1%はあくまで「基準」ですので、実際は料理のタイプによっていくつかのパターンがあります。 例えば一般的な「おかず」や「つまみ」であれば1%でいいけど、ポタージュやシチューなどそれ単体のみを食べる場合は、僕の場合は0.6%くらいまでぐぐっと落とします。 逆にしっかりした味付けでグイグイ米を食べるぞ、みたいなものは、炒め物や煮物なら1.5%まで上げることもあります。普通のスープは1%を超えることはまずありませんが、ラーメンのスープは1.5%くらい無いとそれらしくなりません。 インドカレーは1%だけど欧風カレーは1.2%、とか。 そういう自分なりのパターンをいくつか決めておくと味付けに迷いがありません。 ここに書いたようないくつかのパターンは、実はどれも一般的な外食より一段階ずつ低いです。というのも、外食ではうま味や甘味が強調されがちな分、塩分が丸まって、ちょうどいい上限が上ブレするからです。 塩より醤油のほうが味がまとまりやすいのも、基本的には同じ原理です。塩気以外の複雑な味や香りを持っている醤油のほうが、多少足らなくても逆にオーバーしてもおいしく仕上がりやすい。ストライクゾーンが広いんです。麺つゆや顆粒コンソメならさらにストライクゾーンが広がります。めちゃくちゃ広がります。 さてもう一度塩だけの味付けの話に戻ると、一般的には「控えめに味をつけておいて最後に調整する」という手法が推奨されますが、実はこれ、現代の感覚で言うと「超上級者向け」だと思います。 味見して足らなかったから少しずつ足す→何度かやってあんまり変化を感じないからちょっと思い切って足す みたいなことを繰り返してるうちに、とんでもなくしょっぱくなってしまった、という経験をした人は少なくないはずです。これは、詳細な機序は省略しますが、そうなってしまうメカニズムなんですよ。感覚の誤差。その誤差を無意識に修正しながら調整するのには相当高度なスキルが必要であり、相談者さんもそこに悩まれているんだと思います。 ということで結局、まめな計量に基づく推定と計算のPDCAを回していくことが、最も簡単で確実、ということになります。 ひとつ付け加えると、ストライクゾーンを広げることで成功確率を上げる便利アイテムが「味の素」です。
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