
匿名
「来年から制作に入る料理本のレシピ」を拝見して気づいたのですが、味の素は後から入れるものなんですね…。私は味の素はダシ代わりというかダシの補いというか、はじめの方に入れる物だと思っていたので少し意外に思いました。プロの方は味の素は最後の方に入れるものなのでしょうか?
僕のレシピでも、「必要充分鍋スープ」「限界ラーメン」といった、味の素が無いと成立しないものに関しては、最初から入れます。ちなみにこのレシピはどちらも年明け1/31発売予定『ミニマル料理:最小限の材料で最大のおいしさを手に入れる現代レシピ85』(柴田書店)に収録されています。これは宣伝です。 ただしこの使い方はどちらかと言うと常用外かもしれません。基本的には、「足りない時に補う」「味を整える」ための調味料だからです。 湯木貞一氏の有名な発言で、ダシは毎日同じ味にはならないから最後に味の素で調整する、というのもあります。(この発言自体は、あまり真に受けすぎない方がいい気もしていますが……。) 昔の料理本には、プロ向けでも家庭向けでも、工程の最後で 「塩と味の素少々で味を整える」 という記述が頻出しています。少し話がそれますが、これ、まあまあ高度な料理スキルですよね。現代の目線で見ると「少々」「整える」なんて曖昧すぎて、具体的にどうすりゃいいんだよ?! と困惑する人の方が多そう。 このスキルが当たり前の前提になってたのは、「全て手作りの家庭料理」「花嫁修行」「専業主婦」といういにしえの文化が3点セットになっていた時代ならではだと思います。(またかつては、入れてから長く火を通すと苦味が出る、という俗説もあったようです。) だから今求められているのは、きちんと定量化して入れるのか入れないのかはっきりさせるレシピだと思います。この場合だと最初から入れることになるでしょう。ところが味の素は定量化するには効果が強すぎるんですよね。2人前レシピで0.1gなんて現実的には計れない。 だから僕は常々、効果を1/10に弱めた「味の素マイルド」があればいいと思ってます。これならレシピ化も簡単です。実際に世間の人々は顆粒コンソメなどを「味の素マイルド」的に使ってるわけですし。