匿名
ローストビーフの方向性についてご相談です。大晦日に自作ローストビーフをご飯と一緒に食べたいと考えております。牛もも肉500gを用意したのですが、味付け・アレンジに悩んでいます。ローストビーフ丼は好きな味ではありませんでした。もしよろしけば、稲田さんならどんな方向性を目指すか教えて頂ければ幸いです。
順当に考えるなら、ローストビーフを焼いた時の焼き汁を回収して、醤油と酒とみりんを合わせ、ニンニクねぎ生姜を加えて煮詰め、隠し味的にコチュジャンやオイスターソースを足して…… みたいなことかと思いますが、たぶん僕だったらモヤモヤが残ります。なぜならその味付けであれば、素直にカルビでも焼いた方が満足度が高そうで、それがローストビーフである必然性を感じないからです。 そもそも相談者さんはローストビーフ丼はイマイチということなので、そういう味付けを望んでるわけではなさそうですね。 僕は毎年おせちにローストビーフを入れるのですが、それは、焼き汁を酒でデグラッセして醤油を少し足したもので、焼いたローストビーフをマリネしてから切り出します。 これはおいしさ(と、必然性)は保証しますが、あくまで単体で食べるもので、ご飯モリモリとも少し違うかも。 おせちではなく普段のこの手の料理だと、焼き汁+マスタード+バターでグレイヴィソースを作ります。そこに醤油みりんも少し足せば、こちらは充分ご飯で戦えると思います。うん、やっぱりニンニクねぎ生姜の世界からは遠ざかる必要があるな。 また別の方向性として、ローストビーフをマグロの刺身的な何かと捉える、という方向もありそうです。つまり一番シンプルなのは、焼いただけのローストビーフをわさび醤油で食べる、みたいな感じです。もしかしたら普通の醤油より九州の甘い醤油の方が合うかもしれませんね。馬刺しがそうであるように。もしくは煮切り醤油を作るか。 その方向性であれば、ご飯を酢飯にして肉寿司という方向もあります。世間(の良識派)からは風当たりも強い肉寿司ですが、あれはちゃんと作れば良いものです。 というわけで結論です。 前菜として肉寿司を6カンほど、そしてメインに厚切りローストビーフを好きなだけ、マスタードソースで。せっかくなのでそこに小ライスも添えましょうか。その流れなら、間にもう一品カルパッチョを挟んでも良さそうですね。極薄にスライスして皿に並べ、オリーブオイルとパルミジャーノをたっぷりと。さらにお腹に余裕があれば、締めとして、細かいサイコロに切ったローストビーフをヅケにして、卵かけご飯にトッピング。胡椒をカリリと挽いて。 いかがでしょう、肉と米を喰らうフルコースとしてなかなかのものになりそうではないですか?
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