
匿名
この間初めてエリックサウスに行きました。美味しかったです。少ない経験ですが他のインド料理屋よりヨーグルトの量が多いように感じました。あれは他の店が日本人向けにしているのでしょうか?またライタがつく店とヨーグルトがつく店がありますがどういう違いがありますか?
ご来店ありがとうございます。 エリックサウスをオープンする前、ヨーグルトに関してちょっと印象的な体験がありました。国内のとある南インド料理店でミールスを食べた時の出来事です。 その店のミールスには、ヨーグルトではなくサラダがのっていました。当時は(今もそうかもしれませんが)ヨーグルトをつけてくれる店はほとんどなく、それはそんなものと受け入れて普通に食べていました。 ところがふと気がつくと、周りのインド人客に提供されているミールスには、サラダではなくヨーグルトがのっているではありませんか。改めて卓上にあったメニューを見てみました。そのメニューは日本語と英語が両面に書かれていたのですが、英語の方にはミールスの内容としてしっかりdahi(ヨーグルト)と書いてあり、日本語の方はサラダと書かれていました。 つまりこの店は、日本人にはサラダ、英語圏の人にはヨーグルト、という明確な決め事が設定されていたということです。 「この店では次回からオーダー時に必ず『サラダではなくヨーグルトを』と申告せねば」と心に刻み込んだのですが、それにしてもこれは由々しき問題だと思いました。率直に言うと「ズルいぞ」と。 そんな経験があったので、エリックサウスでは、メニューに(もちろん日本語でも)サラダまたはヨーグルトが選択できる旨を明記することにしました。 ところがこれはこれで問題がありました。その選択だと、ほとんどの人がサラダを選んでしまうのです。 さいしょは、お客さんがそれを選ぶと言うのなら仕方ないかと半ば諦めてもいました。 しかし次第にこれはよろしくない、というかあまりにも勿体ないぞ、という気持ちが高まっていきました。そこでメニューやPOPで、しつこいくらいにヨーグルトの重要性を説明しつつ、一部の店舗から徐々に、選択の余地を削っていきました。つまり、あえてお客様の方からサラダと申告しない限り、デフォルトでは問答無用でヨーグルトが付いてくるという方式にしたのです。マーケティングとしては完全に間違ってるんですけど、こればかりは使命だ、と。 昔のことを考えると、今、小さかったとしてもヨーグルトが付いてくる店があることは、それだけで喜ばしく尊いことです。しかしその小ささは、これまで散々(日本人に)残され続けた結果なのではないかとも思います。ミールスにおけるヨーグルトは、よほどしっかり説明しないとその存在意義は黙ってても伝わりません。ヨーグルトの件に限らず、そういった説明が不得手なことが、多くの外国人の店の泣きどころだと思います。 何にせよ「人情として」残されがちなものは量を減らしたくなります。気持ちはわかる。しかしよくよく考えてみると、これは何の解決にもなっていないんですよね。 ライタとヨーグルトに関しては、これは本来はゼロサムではなく独立変数です。 言うなればライタは「料理の一品」で、ヨーグルトは「コンディメンツ」。なので本当は両方のっててもちっともおかしくないんです。 かつてチェンナイで食べた皿数の多いミールスでは、一枚のターリーの上に、ライタ(パチャディ)、モール、モールカリ、ヨーグルト、と「日本人から見たら全部ヨーグルト」的なものが4種も並んでました。 日本では、ただでさえ残されがちな(もしくは正しく使われない)似たようなものを2つ以上のせようとはなかなか誰も思わないでしょうね。