
匿名
カツレツがとんかつに淘汰されてしまった理由はおかず力の差なのでしょうか?私はポークカツレツもビーフカツレツも塩を少々振ればトンカツなんか比較にならないほどにご飯がいくらあっても足りないよと思うくらいご飯に合う食べ物だと思っているのですが、こういう人間はマイノリティなのでしょうか?
結論から言うと、身も蓋もないですが、相談者さんはマイノリティだと思います。 洋食というのは基本的に衰退ジャンルですが、その中でオカズ力が高いものが中心に生き残り、そうでないものが表舞台から消えていったというのは確かだと思います。 フリカッセやコキールははっきりと衰退しました。今や「レストラン」ではなく「定食屋」となってしまった洋食屋という業態においては仕方のないことです。 クリームコロッケもめちゃくちゃオカズ力が高いわけではありませんが、ベシャメル系の中では系まだマシな方なので、唯一メジャーシーンに生き残っています。 ポークピカタやポークチャップは決して低いとも言い切れませんが、このカテゴリーは、ポークジンジャー、ポークソテー、トンテキなど競合揃いなので、極めて厳しい状況です。 チャプスイもポトフも順当に消えました。ロールキャベツは少なくとも外食では微妙な位置です。 仔牛の料理はあんなにおいしいのに、原価が高い上にオカズ力が最低レベルなのでほぼ絶滅です。 僕も相談者と同じくカツレツが好きです。しかしよく考えるとそれは、僕が洋食屋でライスを付けることがまず無いからなのかもしれません。 メニュー上はカツレツという名称を冠してはいても、実質それはほぼ豚カツといいうことも多いです。特別なソースが最初からかかっているのではなく、卓上の中濃ソースやウスターソースをかけて食べてね、というスタイルの店も多い。 そういう「カツレツ」には少しがっかりしますが、しかしライスと一緒に食べるという前提なら、むしろそういったスタイルの方がしっくりくるような気もします。 カツレツはとうの昔に進化が止まっています。それだけ完成度の高い料理とも言えるのかもしれませんが、その一方で豚カツの進化は凄まじいとしか言いようがありません。 しかしその進化系豚カツの世界において、ソースだけは旧態依然という印象があります。その代わり、カツそのものに自信があるから塩で食べてね、というプレゼンテーションをする店は増えました。 実際僕も、銘柄豚がどうこうみたいな店の分厚くて中心ピンクな豚カツを、左から5切れ目までは、そのまま、塩のみ、辛子のみで食べ、残った右側2切れをソースと辛子べったりにして、そこで初めてご飯に手を付けてモリモリ掻き込む、という食べ方が好きです。そんな時、カツレツ好きな僕でも「そりゃあ負けるよな……」と思ってしまったりもします。 とは言え、肉もコロモも薄くて、バターがふわりと香って、上品なソースが最初からかかっている、そんなカツレツに生き残ってほしいし、豚カツは豚カツで一度中濃ソースや豚カツソースを捨てて新たな地平を切り開いてほしい、そんなふうに思っています。