匿名
自宅近く、あまり飲食店のない住宅街に、ガラス張りの大きなカフェができました。何かメニューが掲示されたり近所にチラシでも配るかと思いきやどちらも無く、オープン日も営業時間も定休日もわからないまま営業開始したようでひと月経ちました。常連客が寛いでいる様子が見えます。ヌルっと開店するのが流行りなんですか?
昔はオープンに賭けるしかないみたいなところがありましたね。どこそこに新しい店ができたぞ!という口コミが、一回こっきりの「バズるチャンス」だったわけです。 だから事前にビラを巻いたり、店頭にはオープン予告のポスターを貼り、そして業者さんや知人友人がオープンを盛り上げるべく送ってくれた開店花を盛大に飾る。 オープンにあたってはアルバイトスタッフを多めに確保しておき、オープン日から数日間は頼み込んで全員出勤。もしくは家族経営的な店なら修行先や仲間内から助っ人が来てくれたり。 しかしもうそんな時代でもないんですよね。アルバイトスタッフは多めになんて絶対集まりませんし、助っ人を出す余裕もない。だから現代の個人店は最初からワンオペ・ツーオペが基本です。 その状況でオープンいきなりお客さんが殺到してもオペレーション崩壊は待ったなしです。何より今はバズるチャンス自体はネットでいくらでも作れるので、最初からガツガツする必要もないわけです。特に修行経験が浅い場合は、ゆっくりスタートしながら徐々に慣れていくことも必要。(まあこれ自体が「なめてる」って話でもありますが) 小規模店をこじんまりとやっていくなら、誰が来るかより誰が来ないかな方が大事だったりもします。そういう意味でも、無闇にお客さんをかき集めるより理解者候補が自然に集まってくる方が良い、というのもあるでしょう。そこからの紹介紹介で店が軌道にのれば万々歳です。 ただまあそれがうまく行く可能性は決して高くないわけで、ぬるっとオープンしたカフェが、結局一度もバズることもなく、紹介が紹介を呼ぶこともなく、いつのまにかぬるっと閉店していたりもするのです。 悲しいけどこれ戦争なのよね……