
匿名
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蕎麦が好きでして、特に温かいかけ蕎麦を好んで食べる者です。ここ数年で言うと、週に5回は食べていると思います。まさにノーかけ蕎麦ノーライフ状態ですので、満足のいくかけ蕎麦の探求はQOLに直結する問題です。しかし入り口の問題が解けないまま長年来ておりまして、この度ご指南をいただきたい次第です。 問題:つゆが濃い方が美味しいのだけれど薄い方が飲み干せて食後の満足感が高い問題 真っ黒な肉なん蕎麦より美味しい薄いつゆのかけ蕎麦はないでしょうか。美味しいお出汁の刻みきつねうどんのような立ち位置のかけ蕎麦を発見したいです。よろしくお願いいたします。
根底にあるのは、 「かけ蕎麦のつゆはsauceなのかsoupなのか」 という問題なのかもしれません。 東京のクラシックな蕎麦では、ほぼ完全にソースです。新しめのお店やチェーン店などのものはだいぶスープに寄っていますが、僕はソース的な方が蕎麦はおいしいと思っています。 ちなみにきしめんのつゆもソースです。とは言え、有名な新幹線ホームのきしめんのようにスープ寄りのものも、(あれをきしめんの代表のように見なすのは釈然としませんが)あれはあれでおいしいものです。きしめんの世界には更にスープ寄りの「白つゆ」というバリエーションもあり、きしめんという麺は汎用性が高いな、と思います。 蕎麦には良くも悪くもそこまでの汎用性はありません。だから相談者さんのその悩みが生じるのでしょうね。 僕はつゆをスープとして楽しみたい時は素直にうどんにします。僕の場合、かけそばのつゆは醤油1に対してだし8、うどんつゆは醤油1に対してだし16です。完全に別物として扱っています。相談者さんの好みのアタリはまた違うかもしれませんが、あくまでこの数字を元にして言うと、ソースとしてもスープとしても同時に楽しみたければ1:12で手を打つ、ということになるでしょうか。 しかしそれだけでは文字通り「中途半端」にもなりかねません。それを解消する方法としては、がっつり濃いだしを引くという手はあると思います。あえて濃いだしを引くなら、カツオがおすすめです。煮干しや調味料入りのだしはあまり向きません。昆布も増やしすぎてはいけません。なのでカツオを増やすと共に、慎重な量で味の素で調整するのもアリだと思います。 うどんにおけるきざみきつねに相当する蕎麦は、僕は「花巻」だと思っています。そして花巻の場合は、つゆがスープ寄りであっても、蕎麦を啜るときは海苔が絡まってソース的になるというメリットもあります。ある老舗の蕎麦屋さんでは、花巻はかけよりやや薄めのつゆで出てきます。細かい仕事ぶりに痺れます。 たねで解決するという意味では、そうしょっちゅう食べるものでもないかもしれませんが、にしん蕎麦も秀逸だと思います。前半は甘辛いにしんをおかずに蕎麦を食べる感覚、そして最後はスープ的なつゆを飲み干す。 そうやって考えると、ベストなつゆを固定するというよりは、その日の気分やたねに合わせて、だしやアタリの濃さをその都度変えていくというのが究極なのかもしれませんね。