
匿名
茅乃舎だしのような、うまみの強い出汁をうまく使うことができません。汁物にするとうまみに支配されてしまいます。いただくことも多いので、うまく活用したいのですが…。 稲田さんは以前ゴーヤチャンプルーの味付けに適しているとおっしゃっていましたが、他によい案や、使用する際のコツがありましたら教えてください。
僕はどん兵衛が好きです。ただし「うどんが食べたい!」という気分の時にどん兵衛で済ませることはありません。どん兵衛が食べたくなるのは、あくまでどん兵衛が食べたい時です。 茅乃舎のだしも同じことだと思います。オーセンティックなだしの味を求めている時には、その代用にはなりにくい。あれはあくまでああいうもの、と別で考えたらよいのではないでしょうか。 どん兵衛に準えたのは、単なる例えでもありません。実際、茅乃舎のだしはどん兵衛によく似ています。塩、醤油、みりんで調整したら、どん兵衛のスープそっくりなものが作れるはず。うどんは細くて平打ちの乾麺がいいでしょう。あとそこに揚げ物を突っ込む必要もあります。揚げ油の風味が加われば、いよいよどん兵衛化するということです。その場合、天ぷらより案外から揚げの方がいいかもしれません。 まあ別に家でどん兵衛を再現する必要もありませんが、そういうものも作れるという一例です。他には例えば、五右衛門のスパゲッティに付いてくるスープのようなものも作れます。というかあれでお吸い物を作ろうとしたら自動的にそうなります。 茅乃舎のだしは端的に言えば「安くもなく高くもない外食っぽい味が作れるツール」だと思います。家庭でそういう味を楽しみたければ、かなり心強いのではないかと思います。 なので逆に言えば、家であえてそんなもの食べたくはないなあ、と思うなら、持て余すことになって当然でもあります。その場合、いっそ捨てるというのも選択肢に入れてもいいのではないかと僕は思います。 もちろんもったいないですけど、あくまでフードロス的な話で言うならば、少なくともカロリーベースではしれてます。我慢してまで、つまり日々の生活におけるささやかな楽しみを制限されてまで、無理に消費することはないんじゃないかなあ。捨てられずにいつまでもそこにあると、そのこと自体がストレスになって人生の無駄だと思います。 なんてことを言いながら、僕もそういうものをなかなか捨てられないタイプで、かつては冷蔵庫のドアポケットの小さいコーナー、通称「納豆のタレ場」に、ついついさまざまなものを溜め込んでいました。納豆のタレ、点心のタレ、辛子酢味噌、おろし生姜の小袋、紅生姜の小袋、ステーキソルト、などなど。 ある時思い立って、納豆のタレ場を閉鎖し、そういうものは買った物に付いてきたその日に即捨てることにしました。確実にQOLが上がりました。 現代のキッチンにおいて、捨てる勇気は結構大事だと思います。