フランス料理はお店ごとに個人の好みがすごく分かれる気がします。ざっくり言うと「素朴で豪快」と「繊細で瀟洒」でしょうか。相談者さんが求めているのは前者でしょうね。 そうなるとレストランではなくビストロを標榜してるお店を選ぶのがいいと思いますが、ビストロと名が付いていても後者寄りな店も多く、またそっち系の方が評価が高い傾向が多い気もするので、グルメサイトで選ぶのはなかなか難しさもあります。 もっともこれはメニューや写真、レビュー本文を読み込めば割とわかりやすいかもしれません。レビューは低評価から読み込むのが効率的かと思います。「大味」「量が多すぎ」「しょっぱい」「脂っこい」「香草がキツすぎ」などと書かれていると相談者さんにとってアタリだと思います。 またそういう店は比較的価格も安めなので、そこも見分けポイントのひとつになるかもしれませんが、安すぎると今度は「なんちゃってバル」的な店も含まれてくるので注意が必要です。 逆に高額寄りの「レストラン」でも、「クラシック」と評されていれば気にいるんじゃないかと思います。 　 具体的な店名をお伝えしたいところですが、僕は居住地近くに2軒ほど完璧に気に入ってるビストロがあり、もう数年来そこしか行ってなくて新規開拓する気ゼロなので、その資格がありません。なので頑張って探してください。 あと「繊細・瀟洒」系にももちろんそれはそれで素晴らしい世界が広がっているので、いずれはあえてそっちも覗いてみるのもいいかもしれません。 　　 本は、基本的に「プロ向けの入門編」が良いと思います。ベーシックかつローカライズされてないからです。ただしプロ向けは価格も高く、暗黙知前提でハードルが高いので、これも中身を確認してご自分の手におえそうな範囲でお選びください。僕はあまりチェックしていないのですが、一般向けのわかりやすいもので内容がちゃんと硬派なものもきっとあると思います。 　 料理に関していうと、作るにしても食べるにしても、シャルキュトリー類は先ず押さえておくべきかと思います。パテ、リエット、コンフィなどです。特にパテ・ド・カンパーニュはどの店でも定番で、それの味（とサイズ）で自分が求めてる店かどうかは判別しやすいと思いますし、自分で作る場合もある種の最終目標になるかと思います。最初に作るのはリエットが良いと思います。 献立全体のバランスやハードルの低さ的に、お惣菜的な冷菜も最初にトライすると良いと思います。キャロットラペとかクスクスサラダとかウフマヨネーズとか。とても簡単な分、自分好みに調整するのも容易ですし、とにかくレパートリーにしといて損はないと思います。 ここまでで最低限の献立は完成します。ポークリエット、ラペ、鴨コンフィ、みたいな感じ。 ここにキッシュとついでにタルトもしくはブリュレが加われば、接待料理としても完璧です。 　 その次は煮込みですかね。シャルキュトリーよりむしろハードル低いです。ブフ・ブルギニヨンやコック・オ・ヴァンは、ワインで煮込んでそのまま煮詰めれば勝手においしくなるのでおすすめです。そのレベルから上を目指すとまたキリがありませんが。 カスレやシュークルートはかなりおすすめです。お店では案外出会いにくい料理ですが、作るのは比較的簡単で、これぞ家庭料理の真髄だと思います。 　 そしていよいよ「肉焼き」です。肉焼きに特化した本もあります。ただし書いてる通りやってもうまくいくとは限りません。とにかく数をこなして「修行」する必要があります。RPGのレベル上げみたいなもんです。それを楽しめれば一生モノの趣味になるかもしれません。 しかし実を取るなら最初は定温調理器がおすすめです。牛でも豚でも羊でも、ここまでお話ししたどの料理よりハードル低く、確実にうまい料理にありつけます。肉だけでなく魚も、お刺身用のサクを買ってきて「ミキュイ」にするととりあえず感動すると思います。 　 そうなるとソースにも凝りたくなるところです。クラシックなものや複雑なものに手を出すとどえらいことになりますが、とりあえず混ぜるだけのタプナードとか、マスタードを何かでのばしたり、トマトでもカブでもにんじんでも、野菜を煮てからペーストにすればなんとかなります。 赤ワイン系の煮込みの汁を少し冷凍保存しておいてソースとして使いまわすチート技もおすすめです。 近年ではソースにさほど凝らないのもトレンドなので、開き直るのも手でしょう。 　 本来はデセールまで習得する必要がありますが、もちろんこれまた底なし沼です。買ってきた方がいいかも。デセール飛ばしてチーズでもいいですね。ていうかチーズはとても大事です。 　 こんな感じのラインナップを中心にお店で正解を楽しみつつ、家でも並行して作っていくと、かなり楽しい世界です。 結局のところやっぱり沼です。