匿名
世間では肉汁(脂?)が飛び出るタイプのハンバーグが尊ばれている印象を受けます。しかし料理の素人である自分の目には、あれは肉の旨味が流出しているだけなのでは、皆は何を喜んでいるのかとずっと疑問を抱いています。ハンバーグで肉汁を飛び出させる意味ってあるのでしょうか?
歴史的に見るとハンバーグはかつて、増量との戦いでした。肉の値段が相対的に今よりずっと高かった時代の話です。玉ねぎとかパン粉とか、あるいは工場製品なら粒状大豆たん白とか、とにかくいかに混ぜ物を増やしてコストを下げるか。 そんな中、つなぎは最小限にとどめた高級寄りのハンバーグはきっと誰にとっても他よりおいしかったことでしょう。そういうハンバーグは混ぜ物の多い練り物みたいなハンバーグとは異なり、断面に「肉汁」が滲みます。 また、肉汁が断面に滲むということは、焼く技術が高いことも意味します。割れたり焼きすぎたりすると肉汁が流出するからです。 つまりその時点では、肉汁は、おいしさを推し量る手段となり得たということが言えると思います。 ところがその後、手段と目的が入れ替わります。肉汁が「目的」となってしまったのです。そこから今度は「肉汁は多ければ多いほど良い」という価値観にも発展しました。 一時の流行りだろうと思ってましたが、どうもすっかり定着したようですね。日本人は常に、わかりやすい評価軸のようなものを求めているのでしょう。それが昭和の価値観であったとしても。