匿名
スリランカカレーなどの皿の上で混ぜる食べ物が苦手です。もちろん美味しいと思ってはいるのですが、味のバランスは口の中でとりたい、混ぜたら戻れないのが嫌、という気持ちに勝てません。一緒に食べている人に「現地ではこれが主流」などと言われると居心地が悪くなってしまいます。どうやって向き合えばいいのでしょうか
スリランカカレーではなくてミールスの話から始めますが、エリックサウス創業当時の「ミールスの食べ方」ポップでは、とにかく「混ぜろ混ぜろ」と書いていました。 これは、当時まだ日本人には「カレー同士が混ざっても良い」という発想がほぼ無かったからです。そこで、 「皿の上で混ざってしまっても気にすることはないし、時には積極的に複数を混ぜてみてもいいんですよ」 ということをわかりやすく伝えるためにそう書いたわけです。言ったら、「気楽に食べてよ」ってことですね。 ところが、4、5年くらい前?からでしょうか、今度は逆に「混ぜすぎる人」が現れ始めました。極端な場合、カトリの中身を全て皿にあけ、最初から全てを混ぜます。 インスタでもそんな食べ方を披露して「本来こうやって食べるんですよ」と解説している人も見かけるようになりました。百歩譲ってミールスならまだしも、ノンベジカレーが複数並ぶプレートでも同じことをしていました。 これはまずい、と危機感を持ちました。そこで、食べ方ポップを数度にわたって全面改定し、今度は「混ぜすぎてはならない」ことを強調する内容にしました。 そのおかげなのか、それとも世間全体が誤解に気付いたのか、少なくともウチの店においては「混ぜすぎる人」はいなくなり、ほっと胸を撫で下ろしました。 後になって、あるスリランカ料理屋さんでも同じことが起こったと聞きました。 つまり最初は、混ざることを恐れて食べ方がぎこちなくなってしまうのをみかねて「混ぜろ混ぜろ」と言ってたら、いつのまにかみんな初手から豪快に混ぜるようになっていた、しかし今更引っ込みもつかず……みたいな話です。 「現地ではこれが主流」というその方の混ぜ具合がどの程度のものかにもよりますが、むしろそちらが誤解である可能性もあります。 もちろん現地でも豪快に混ぜる人も中にはいるかもしれませんし、細かいことを言えば豪快に混ぜる前提のプレートも無いではないのです。しかしそれが基準とは言い難いと思います。少なくともエリックサウスでは、豪快に混ぜるインド人さんは見たことがありません。 あくまで「混ざっても気にしない。なんなら混ぜたっていい」なのです。 と、ここまでが「カレー同士を混ぜる」話でしたが、もうひとつ、「米とカレーを混ぜる」話があります。 米とカレーは、少なくとも米が長粒米であるならば、これはよく混ぜるべきであると考えています。その方が確実においしいと思うからです。 しかし米が日本米ならその限りではないとも思っています。 相談者さんも、長粒米の時はぜひしっかり混ぜてみてください。その時に手を使うと、何というか、口中調味の延長、という感覚で混ぜることができると思います。