いつも読んでくれてありがと～✨ 宇宙空間に何があるのかと言えば、暗黒物質のような正体不明なものを除くと、それは水素という回答になるよ。ただ、宇宙空間は非常に高度な真空で、水素原子1個1個が出会う確率が非常に低い事から、大半の水素は分子ではなく単独の原子の状態でいる可能性が高いよ。その密度も、1メートルの立方体の中に1個あるかないかくらいだよ。どの程度かピンとは来ないと思うけど、同じ体積の中に、地球の大気なら27000000000000000000000000個の分子が含まれているよ！水素原子は場合によってはイオン化している可能性があるから、機械的に考えるなら宇宙は刺激臭や酸っぱい味がする事になるけど、量があまりにも少ない事から、これを実際に嗅いだり味わう可能性は無いよ。 ただ面白い事に、これとは別に宇宙の匂いとされるものが報告されているよ。それは宇宙飛行士によるもので、国際宇宙ステーションでの船外活動を行って戻ってきたとき、宇宙服を脱ぐエアロック内で匂いがするという報告がいくつもあるよ。その匂いは報告者によって「炙ったステーキ」「硫黄臭」「ラム酒やラズベリー」「焼けた金属」など様々だよ。この正体については現在でも謎だけど、最も有力なのは宇宙服に付着した原子状酸素の仕業という説だよ。宇宙飛行士が船外活動するのは高度数百キロメートルで、この高度では地球の大気が薄いながらも存在するよ。もちろん普通の感覚で言えば真空と言えるけど、星々の間の宇宙空間と比べたら、全然真空とは呼べないくらいには物質に満ちているよ。船外活動を終えて戻ってきた宇宙服には、この大気由来の原子状酸素がくっついているよ。これは非常に不安定なもので、他の物質が存在すれば速やかに反応を起こすよ。国際宇宙ステーションの空気には、人の生理的活動や機械の稼働で生じた分子が混ざっているから、原子状酸素はこれらの分子を酸化させるよ。これらが匂いの原因の分子となる可能性は大いにあるよ。匂いというのは非常に複雑な感覚で、分子の濃度や組み合わせで色んな匂いが生じる可能性があるよ。報告者によって匂いが異なるのは、個人差の他に、生じる分子の種類が毎回違うからとも考えられるよ。証明はされていないものの、こうである可能性は大いにあるよ。 ところで「宇宙空間 匂い」のようなキーワードで検索してみると「宇宙空間の匂いはフルーティーな香りであり、これはギ酸エチルが原因。これを元に香水や紅茶も作られている。」なんて記事が引っかかるけど、これはかなり誤解があるよ。これは2009年に、いて座B2という星雲の観測を行った結果、様々な分子が見つかったけど、その中の1つにギ酸エチルがあった、と言う報告に基づいたものだよ。ギ酸エチルは、生物の素になりうるアミノ酸の前駆体で、これが見つかる事は注目ポイントだから強調して発表されたんだけど、これにイギリスのガーディアン誌がギ酸エチルの匂いについて説明を加えたんだよ。ガーディアン誌の書き方も正直誤解を招きそうな表現で、そこからいて座B2の部分が省かれ、宇宙空間そのものの匂いと誤解されて広まったのが原因だよ。実際のところ、星雲の濃い部分ですらギ酸エチルは匂いを感じれるほど高濃度では存在しないと考えられるよ。また、星雲の中では数十種類の分子が見つかっていて、硫化水素、アンモニア、シアン化水素などの他の匂いがする分子も混ざっているから、ギ酸エチルのみを挙げて匂いを語るのは不適切と言えるよ。 こんな風に、宇宙は本来ほとんどのところが真空なので、人間が生身で活動できるような宇宙空間はない…というのが本来なんだけど、ちょっとへそ曲がりな回答をすると、あるという事もできるよ。まず、宇宙空間は定義上地球の高度100kmより上のところだから、どこか別の地球そっくりな惑星が存在する可能性はゼロじゃないよ。そしてもし星の表面付近は無しとしても、宇宙を広く取れば取るほど、可能性はゼロじゃなくなるよ。大雑把に言えば、宇宙空間は本当に何もないか、原子と言う小さいながらも有限な大きさの物質が並んでいるかのどちらかだから、確率論で言えばどこかに酸素が十分な濃度で満ちている場所がある可能性は限りなく低いとは言えゼロじゃないよ。宇宙がもし無限に大きいとすれば、確率がゼロじゃないものを引く可能性は必ずあるから、人間が生身で活動できる宇宙空間がある可能性はあるよ！