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紅子
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反物質の重力測定に関する解説記事、当該論文のプレスリリースを見てから楽しみにしていました。セットアップや実験結果など大変分かりやすい説明で流石です! 質問です。この研究における重力とは、反水素と地球(反物質ー物質)に働く重力相互作用のことだと解釈しました。 (今回の実験では無視できるレベルだと思いますが)反水素ー反水素(反物質ー反物質)にも重力相互作用は働くと帰納されます。一方で、重力相互作用を媒介する素粒子レベルで見たときに、今回の反物質ー物質間に働く重力の起源とは異なるものなのでしょうか。 つまり①物質ー物質、②物質ー反物質、③反物質ー反物質の3パターンの重力相互作用は、現在の枠組みでは異なる機構で説明されるのですか?もし異なる機構なのであれば相互作用の名称を明文化する必要がありそうですね。重力起源等の理論が未解決なのは承知していますが、主流の考え方などがありましたら教えて欲しいです。
紅子さんスーパーレターありがとう!そして通知を見逃していただろうし、遅くてゴメン!あの解説記事を読んでくれてありがとうね! 確かに、今回の実験は厳密に言えば「反物質が地球に向かって落ちる実験」を行ったので、物質-物質間の重力と物質-反物質間の重力については実験で確かめたけど、反物質-反物質間の重力はまだじゃないか!とツッコミはできそうだよね。それは正しい科学的態度だよ。 しかし、反物質には物質と同じ強さの重力が働くというのは、今回の実験に限らず長年に渡って証明されているよ。例えば直近だと2022年に陽子と反陽子の間に働く太陽の重力の差が測定されているよ。 今回の実験も含め、「反物質は何か未知の理由で、正の質量を持っているのに反重力が働いているという抜け穴はないか」という部分が最後まで残されていた謎なんだよね。様々な理論的な理由や実験から、反物質が正の質量を持つのは確実。そして弱い等価原理は、働く重力はモノの種類に寄らず一定であると予測しているよ。これを合わせると、反物質が物質に対して落下する、つまり物質と反物質の間が重力であると証明された時点で、反物質にも弱い等価原理が成り立つものとして、反物質-反物質間でも重力が働くことが論理的に予測されるよ。なぜなら弱い等価原理はモノの種類を区別しないので、反物質の重力が働く先が物質だろうが反物質だろうが同じ重力でないといけない、でなければ原理が自分自身で矛盾が起きてしまう、という縛りになるからね。なのでもし宇宙のどこかに反地球が存在したとした場合、反ニュートンは反リンゴの落下と反月の公転から同じようにニュートン力学構築を考えたはずだよ。